文化庁に「日本遺産」というものがあって、昨年の「能登キリコ祭り」に引き続き、今年は県内から「小松市の石の文化」が認定されたそうだ。
小松の石と言われてもピンとこない人が多いと思うけれど、今回の認定は石にまつわる様々を時間を越えて物語に仕立て上げた、その編集力によるものかと思う。
金沢では土塀や石垣に使われる戸室石が有名だが、その他にも塀や門柱に今回の観音下の日華石をよく見かけるし、能登にも小木石というのがあって寺院の基壇などに見ることが出来る。
石川県はまさに名が体を表しているようだ。
自然の中に屹立するこの垂直の壁は、人の暮らしが作った残滓にすぎない。
圧倒的な質量を持つその姿は、どこか2001年・キューブリックの「モノリス」を思わせる。
石切場近くの山中にある堂、胎内くぐりの後たち現れる。
巨大な岩盤を庇にして建てられていて、懸造り、見上げるその姿はかの投げ入れ堂を思わせる。両者共に場所の持つ大きな力を感じてそこに作られたのだろう。石や岩の持つ力。
周囲には石造アーチの橋がいくつか残っていて、いづれも小さなものだが手作りでほほえましい。
今回の「日本遺産」認定を機に思いつくまま引出しを開けてみたが、この他にも石にまつわる様々な物語がこの地域にあるに違いない。それらを発掘し編集し訪ねることは、街の大きな資源となるに違いない。