2016/09/01

「旭川 DESIGN WEEK」 森の家具工房










































「北の住まい設計社」   @北海道上川郡東川町


「すごくいい所だから、旭川に行ったらぜひ訪ねなさい、」
Nさんに薦められて駅から車で30分、水田や雑木林を抜けるとかわいい建物に到着。
そこは家具の工房とショップやカフェを併設する素敵な場所でした。

まずは椅子や棚などの家具を拝見した後、その製作現場を案内していただくことに。
見学は原料となる木材の乾燥場からスタートです。














































やはり地元の木を使おうということで、ここで使われる木材は全てが道産材、写真は厚沢部町のイタヤカエデです。

木の香りを深呼吸、整然と並ぶ姿は現代アートのよう。

木は乾燥すると収縮するため、伐採から家具になるまでに長い時間をかけて乾燥させます。
原木を製材したものをここで最低1年以上乾燥させ、含水率を20%まで落とします。




































ある程度乾燥した板は次に乾燥機に入れますが、ここが実は非常に難しい技術を要するそうで、データにもとづいて温度・湿度を調節しながら約3週間かけて、含水率を8%まで落とします。

建築材料の場合、含水率は18-20%程度ですから、これは非常に厳しい数字です。
暴れたり捩れたり、狂いのない家具を作るのに必要な条件とのこと。





























乾燥木材は外気に触れると含水率が徐々に上がってゆくので、目標2年以内にこれらの木を使い切りたいそうです。

板はそれぞれの部品サイズに加工されストックされています。
そして組立工程へ。




























































家具の組み立ては隣接する「廃校」を改修した建物の中で行います。




体育館や教室での作業風景。

さきほどの林の中の工場もそうですが、作業と風景がつながっているというか、嘘がないというか、身の丈にあっているというか・・・

とにかく自然な雰囲気の中にセンスが光ります。










































組み立てた家具は塗装工程に入ります。

塗料は 「エッグテンペラ」、手触りのよいマットな仕上げと深い色合いが魅力的です。
西洋の古典絵画にも使われる材料で、水・油・卵に顔料を混ぜたものをスプレーで塗装します。
塗装された脚と無垢の天板の対比が軽さを生んでオシャレです。




































完成した家具はギャラリ-に展示、隣接するショップで販売されています。

工房は全て撮影OK,
ここでしか出来ないことなのでどうぞどうぞという、自信にあふれたものでした。

もしかしたら、一見同じような家具はどこかにあると思うかもしれません。

しかし、「旭川家具」の特徴はその地域の中で人や技術だけでなく、木を育てる豊かな自然を持っていることです。

製品の背景がこの豊かな工房を作っていて、たぶん旭川はものづくりの町として今後ブランド化に成功するでしょう。

林業が衰退し、外材に頼りきる日本においてこれはとても困難なことで、暮らしと生産と風景が地続きのまちは貴重だからです。

次回は工房のレストランへ。
また来たい街ができました。